【葉桜の季節に君を想うということ】感想文/青春のスピードと、金は命より重いということ

歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだよ!タイトルが長ぇ!

ネタバレ感想だッ






                                                • -
                                                • -

叙述トリック小説と分かって読み始めて見事に騙される馬鹿はどいつだ!?私だ!!

これまで折原先生に散々騙されて今度は歌野先生に騙されました。いや~~すっかり騙されたぜ!きもちかった!!サンキュー!!
いや私もIQ4くらいはあるからね、読んでて「おや?」と思うことはたくさんあった。成瀬さんの部屋の間取りどうなってんだ?とか。でもこっちは叙述トリック小説だと分かって騙されたくて読んでるんだから、引っかかる部分があってもあえて読み進める。騙してくれ!!そして騙された。サンキュー歌野!!

成瀬がお年寄りだと気付いたのは、彼が蓬莱倶楽部の社員を脅して事務所に侵入したあたりです。メチャクチャ佳境だな。でもまさか麻宮さくらがおばあちゃんだとは思わなかった。というか、古屋節子の孫かな?と思っていた。本人かい!!
おじいちゃん成瀬のパワフルさは清々しいほどで、なんかイラつく物言いすんなこの長髪男…と思っていたのも、逆にめっちゃファンキーじゃん!!となるから私もクソ女ですね。
読了後には爽やかな青春小説を読んだような気持ちになった。生き生きとしていて、瑞々しくて、おじいちゃんとおばあちゃんのはずなのに、不思議。とても綺麗な気持ちになった。
これが歌野先生のマジックかぁ~~~!すごく良い小説でした。

あとヤクザの兄貴・世羅の死の真実は何よりも恐ろしかった…
世羅の自業自得とはいえ、コンドームにパッキングした薬物を何キロも飲み込んだ上、それが体内で破裂、ショックで激痛にのたうち回りながら死に、さらに体内に残された薬物を回収するため弟分のケンタが腹を切り開き腸を切り開き…薬物の詰まったコンドームを1つずつ回収し…オエッッッッッッ
なんかもう滅茶苦茶リアルに想像してしまって、ほんと怖かった…読了したのが夜中だったんだけど、怖くてトイレ行けなかった。薬物ほんこわい…お金を手に入れるってこわい…1000万のために鉄骨を渡るカイジを思い出した。金は命より重い…

【冤罪者】感想文/俺の正義は俺が決める

折原一の「冤罪者」を読んだよ!
ネタバレ感想










あ~~また折原一に騙されたーーー!!!
騙そうとしてくるからな!気を付けろよ!って思いながら読んでいてもまんまと騙されてしまう。
でもそれが楽しいし醍醐味だしもっと騙して!あたしを!溺れさせて!!と思ってしまう折原マジック…サイコ~~でした。

今回も「何が真実なの?」とジリジリジリジリさせておいて、最後の最後でこの疾走感!
迫り来る魔の手!犯人はなんと小谷!小谷の真の姿は久美子!河原はやはり無罪!しかし!実は河原は他の事件では有罪!極悪人!そして!その極悪人を「たわけ!」の一言とパワーで捩じ伏せる(たぶん)笹岡!!!どんでん返しの連発!!!連発!!!連発!!!HIGHER~~~!!!!(HIGHER GROUND)

あと本作、アウトレイジか?ってくらい全員悪人でしたね!!
いや、悪人ってほどじゃないかもしれないけど、高山元刑事は正義感が行きすぎて犯罪を犯していたし、瀬戸田氏も完全に血迷ったストーカーだったし、五十嵐氏は悪いことはしてないけど亡き婚約者の穴を他の女で埋めてはまた他の女に流されを繰り返してて気持ち悪いし…
言うなれば「みんな自分の正義で動いてるけどみんな気持ち悪い」という最悪な登場人物たちでした。俺の正義は俺が決める!!という力強い意思を感じます。
でもまあ人間の主観なんてそんなものかもしれませんね。

というくそデカ主語でまとめておきます。あー面白かった!

【マックイーン モードの反逆児】感想/美と狂気のドキュメンタリー

【マックイーン モードの反逆児】を観たぜ
感想を述べる!ネタバレだ!













アレキサンダー・マックイーンのコレクションはずっと好きで追っていたが、デザイナーである彼本人について私は無知だった。

というのも、私がファッションに興味を持ち始めてすぐの頃に彼は他界していたのだ。
それでも彼の、斬新…どころかあまりに衝撃的なコレクションの数々はしっかり覚えていて、映画のなかで改めて(なんと本人の映像解説によって…!)コンセプトを知れてとても嬉かった。
しかし、嬉しい反面、彼の服を見ることが辛くなった。

アレキサンダー・マックイーンの服はアバンギャルドで気品があり、そして、常に闇を見せつけてくる。
曰く、「コレクションのテーマは僕の内面」だと言う。
狂った精神病患者たちも、野生の獣たちも、彼の内面なのだという。

アレキサンダー・マックイーンは不幸だ。あんなにも才能に恵まれ、人に恵まれ、成功を収め、それでも満たされないと感じてしまう。そして自分を愛する人たちすら傷つける。あまりに不幸な生き方の人だ。
満たされないから、飢えていたから、あんな斬新な洋服をつくり続けられた?
なんて、そんな風に言うのは簡単だろうけど。

狂い行くデザイナー、荘厳な音楽、目眩がするほど美しい洋服。まるでゴシックホラー映画のようだ。
悲しく美しい映画だった。

f:id:mumus:20190502020930j:plain

-
観た日 4/29
観た場所 TOHOシネマズ日比谷
-
監督・製作/イアン・ボノート
アレキサンダー・マックイーン
イザベラ・ブロウ
フィリップ・トレーシー
セバスチャン・ポンス

【シャザム!】感想文/クソガキ可愛い

俺のGWは映画「シャザム!」でスタート!
今回は絵を描いた。
元気にネタバレだ!!











    • -

観た日 4/27
観た場所 TOHOシネマズ新宿

    • -

監督/デビッド・F・サンドバーグ
製作/ピーター・サフラン

シャザム/ザッカリー・リーヴァイ
ビリー/アッシャー・エンジェル
フレディ/ジャック・ディラン・グレイザー
ドクターシヴァナ/マーク・ストロング

f:id:mumus:20190501231310j:plain

【異人たちの館】感想文/私の愛する狂人

折原一【異人たちの館】を読んだよ!
以下、頭の悪いネタバレ感想文。













わたし、狂人の話が好きなんです。
特に、狂った美学や価値基準を持っていて、それが社会的に受け入れられない事を承知しながら、美学を貫き通してくる“潔さ”のある狂人。

折原一の本には度々そんな狂人が登場する。
【倒錯のロンド】の小説に取りつかれた人々、【天井男の奇想】の天井男…
折原一といえば叙述トリック、密室、だけど、私は折原一の書く“狂人”たちが大好き。

【異人たちの館】で最も潔く狂っていたのは、島崎葵かなあ。
小松原淳も大概やばいけど、彼の狂気はただ自己愛が強いだけのように感じる…狂気に対してこういうのはおかしいかもしれないが、“狂い方が不純”という印象だ。
その点、島崎葵はやべえ。「息子の復讐のために始めたけど、そんなことより私の創作意欲が抑えられねえ…!腕が唸るぜ!!え?は?息子?それが何か?」みたいな。
そんなわけなので、島崎葵をもっと掘り下げてほしかったなぁ~!というのが私の1番の感想です。
いや、分かってるけど。島崎葵は本作の主人公じゃないし。

島崎潤一はひたすら可哀想な男だった。
あらゆる人々の“狂気”の糧にされて終わってしまった。搾取され追い詰められて“狂人になってしまう”様子は私の好むものではないので、読んでいて心が苦しい…。
ちなみに、島崎潤一のビジュアルを映画【去年の冬、きみと別れ】の那雲(岩田剛典)で脳内変換しながら読んだらメチャクチャ良かったことを記録しておきます。
本作映画化の際はぜひ岩田剛典を起用して貰いたい。

ところで、ユキは彼の子どもを身籠っていたようだけど、本当に彼のことを愛していたのだろうか?それだけがよく分からなかった。
(というか、ユキは徹頭徹尾“つかみ所の無い美女”として描かれており、マジでつかみ所が無いから全く共感が出来ず、理解も出来なかった。
しかし“過干渉な母親たち”は非常に生き生きとしていた。そんな女たちの対比から折原一氏の女性観が見えてきて、そういう意味では面白い描かれ方だった。)


個人的に好きなシーンは、ケントが戻ってきたと思い、ビビりながらケントの白骨死体を確認する小松原淳です。
「ちょ、ほら~!死んでるじゃ~ん!んも~っ!」みたいな感じで笑っちゃった。(全然そんな文章じゃないけど!)

折原一の本、シリアスの度が過ぎてくると段々面白くなってきちゃうところがなんかもうすごい好きです。
【天井男の奇想】のラストのあたりとかBGMでHIGHER GROUND(※ハイロー主題歌)でも流れているのか?って勢いゴリゴリで本当に楽しかった…機会があれば【天井男の奇想】の感想文も書きたいです。
おわり